デンタルニュース

(平成23年10月号)

浦安市新浦安の歯科医院「デンタルオフィス・ソレイユ」理事長の江波戸寛です。
今月は「口内炎」についてご紹介したいと思います。
一般的に歯科では、むし歯、入れ歯、歯周病など歯に直接関連した疾病が思い浮かびますが、お口全般の病気にも対応します。例えば、口腔粘膜の病気もその一つです。口腔粘膜の病気には白板症、紅板症、扁平苔癬(へんぺいたいせん)…など初めて耳にするようなものがたくさんあります。まれに口腔癌へと進行するものがあり軽率な自己判断は予後に重大な悪影響を及ぼしますので専門家による診断が必要です。そんな口腔粘膜に関する病気の中で最も代表的なものは口内炎ですが、口内炎にもいろいろな種類が存在します。

1. 幅広い年齢層に見られる口内炎

ごく一般的で幅広い年齢層に見られる口内炎がアフタと呼ばれるもの。米粒大の白っぽい円形の潰瘍で痛みをともない病態的には胃潰瘍と似ています。体質、暴飲暴食、ストレス、口の中にできた傷などで誘発されると考えられていますが原因不明のものもあります。通常10日位で自然に治りますが、痛みが強く食事や会話に支障をきたしたり、多発・再発を繰り返すアフタの場合はステロイドの軟膏剤や貼用剤を使用します。治癒を早め接触痛も和らげるメリット があります。

2. 高齢者に多い口内炎

入れ歯が慢性的に歯ぐきを圧迫・摩擦して起こる義歯(入れ歯)性の口内炎は高齢者によく見られるものの一つです。入れ歯が合っていないことが原因なので、歯科医師が入れ歯の調整をすることで多くの場合は改善できます。しかし、細菌によって炎症が悪化する場合があるため、うがい薬で口腔内を清潔にし入れ歯をよく掃除して常にきれいな状態で使用することを心がけてください。

3. 免疫力の低下した要介護高齢者に見られる口内炎

カンジダ(カビの一種)性の口内炎があります。頬の内側、舌などに白く点状・地図状に出るものや赤いまだら状にびらんが起こり痛みや味覚障害を伴うことがあります。糖尿病やステロイド薬を服用している方にも発症しやすく治療は抗真菌薬を含むうがい薬と栄養状態を改善して免疫力の回復を促します。

※歯磨き粉には発泡剤が含まれていて粘膜を保護している組織(ムチン層)を分解して粘膜障害を助長するので治るまで 歯磨き粉の使用を控えるのもよいでしょう。

4. ぜひ定期健診を受けてください

高齢者の口内炎は治癒の悪いものや原因不明のもの、時には他の重大な粘膜疾患である場合もあります。 早期発見、早期治療が大切です。ぜひ定期的に歯科検診を受けていただくことをおすすめします。

▲このページの先頭へ