デンタルニュース

(2019年4月号)

むし歯になりにくいとして有効性が国から認められているトクホ(特定保健用食品)のガムやタブレット。これらに使われている甘味料がキシリトールです。 キシリトールは果物のプラムやイチゴ、野菜ならカリフラワー等に含まれている天然甘味料で、糖アルコールに属し、砂糖と同等の甘味度でありながら、 砂糖よりも25%も低カロリーです。また細胞に取り込まれるのにインスリンを必要とせず、糖尿病状態のエネルギー源としても利用でき、 1960年代から既に点滴に用いられ、WHOからは最も安全性の高いカテゴリーに分類されています。樫や白樺、とうもろこしの芯等から工業的に生産され日本では 約8割がガムに利用されています。そこで今月は、『キシリトール』についてご紹介したいと思います。

キシリトールのむし歯予防効果

キシリトールにむし歯抑制効果のあることが分かったのは1970年代です。キシリトールは酸や歯垢(プラーク)を作らないことから、むし歯の原因にはなりません。 またキシリトールは、酸とネバネバのグルカンを作る悪いタイプのミュータンス菌を減らし、酸とグルカンを作らないタイプのミュータンス菌を増やすことがわかっています。 つまり、口腔内の細菌叢(細菌のバランス)を変えて、むし歯の発生を防ぐことができるのです。これはキシリトールのみに認められる効果です。 また1975年以降、世界中で多くの長期的な臨床研究が行われ、30〜80%のむし歯の発生を予防したという結果が報告され、その有用性が実証されています。

キシリトールの選び方と使い方

ガムやタブレットは、キシリトール含有量が50%以上で糖質を含まないもの(シュガーレス)を選んでください。1日3〜5回、食後・食間・就寝前、10分を目安に キシリトールが含まれた唾液をすぐには飲み込まずに、全部の歯によく行き渡らせるのがポイントです。キシリトール100%のものであれば、歯垢が減るまでおよそ2週間。 3ヶ月程度で、むし歯になりにくい口腔環境になると言われています。ただし基本はブラッシングなので、歯磨きはしっかりしましょう!

要介護高齢者にも‼︎

要介護高齢者で歯磨きを十分にできず、口腔内環境が悪化しやすい場合に、キシリトールは有効です。
①口腔内の悪いタイプのミュータンス菌が減少する
②唾液分泌を促しお口の中の汚れを洗浄する
③唾液分泌で薬や加齢による口腔乾燥を緩和する
等の効果を期待できます。入れ歯等でガムがだめな方でもタブレットなら使用できます。またキシリトールはインスリンに関係なく吸収されますから、 糖尿病の方でも安心して使用できます。

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